2012年5月23日

たまねぎ泣き

圧倒的に、それが苦手だった。
「それ」と対峙するとき、かなりの確率で、私は涙を流した。

それも、もう過去のこと。


昔は、たまねぎを刻むのが苦手だった。
たまねぎ
といえば、みじん切りが常だった。
母の隣で台所に立ち、涙を流しながら、私はそれでもたまねぎを刻んだ。

まだインターネットなんてなかった時代。
優しい母は、どこからか、娘のためにたまねぎを切るときに涙が出ない裏わざを仕入れてきてくれた。

たまねぎを切るときに、蛇口から細く水を流しっぱなしにする。
切る前にたまねぎを冷やしておく。
ティッシュで鼻栓をする。
水中メガネをかける。

ぜんぶ試しました。
鼻栓や水中メガネをしてたまねぎを切る少女の映像は、今思うとかなり笑えます。
鼻栓や水中メガネを装着してもなお、涙をポロポロ流し、「おがあざん、やっばり、だめだっだよ」と言わんばかりの、哀れな娘を母はどんな心境で見ていたのでしょうか。

母のもとをはなれ、1人暮らしをした時も、2人暮らしをした時も、やはり私は涙を流しながら、たまねぎを刻んでいました。涙が出るということは切り方が下手なのだという噂を聞いたこともあります。

それから数年、私はたまねぎを切るときに涙が出るということを忘れていました。

ふと今夜、
帰りの電車でオムライスが食べたくなり、帰宅してすぐに作りはじめました。みじん切りが苦手すぎて、薄いスライスのたまねぎ。

目が痛くなり、涙目になり、久しぶりに、この感覚を思い出したというわけです。

無性に食べたくなったオムライスは、今夜も美味しかったです。

この間こっそり、アラフォー元年を迎えたおんなの、たわごとでした。

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